大きな転換期を迎える高校入試!!

・・・ようやく始まる学力重視の入学選抜に向けて・・・

  2020、それが今回のキーワードです。以前にもお話しましたが、2020年から大学入試が大きく変わります。文科省は学力の3要素「知識・技能」「思考力・判断力・表現力」「主体性・多様性・協働性」(学校教育法30条第項)を適切に評価する入試に向けての改革を進めてきました。そのための高校入試問題の改革変更が2017年度から本格化する、と考えられます。2016年度入試の全国的な傾向を見てみますと、全教科において「思考力・判断力・表現力」を問ういわゆるPISA型問題や記述問題が増加しています。(広島県は、社会の記述式問題が前年の35%から70%へと大きく変わりました。ページ数が7ページから21ページになったそうです)さて、当県に目を向けますと、今年度の入試問題は「知識・技能」を問う問題が依然として大変多く、平易な問題が目立ちます。問題改定が全国と比べて数年遅れています。(五教科平均283.0ですから、いわゆる難問というような問題は1問もありませんでした) 4年前に前期選抜・後期選抜制度が導入されて以後、調査書重視の傾向に偏り、受検生の本来の学力を正確に反映していない選抜になっていると私は考えています。

 さて、それでは2017年度はどうかといいますと、「思考力・判断力・表現力」を問う問題が大幅に導入されると思います。というのは、現在の中学2年生が2020から始まる大学入試の第一回生になるからです。今後、この前期・後期選抜という制度も変更され、学力重視の入試制度へと舵が切られることになるでしょう。とはいうものの小学校・中学校さらに高校へと続いた教科書改訂で履修内容は質・量ともに大幅にUPしてきました。「知識・技能」の習得に充てる時間が依然とは比べ物にならないくらい多いというのが現状です。ですから「知識・技能」の勉強にも大変時間がかかることも事実です。では、来年度の入試を迎える現中学2年生のみなさんはどのような学習をしていけばよいのでしょうか?実は、私は学校間で二極化が進んでいくだろうと考えます。上位校は「思考力・判断力・表現力」(PISA型問題、記述問題)の作問が重要視され、いわゆるボリュームゾーンといわれる(偏差値49以下の)中下位校は「知識・技能」の作問を重視するということになると思います。(当県は東京都が実施しているような各高校が独自問題を作成するという方向にはいかないと考えられます。したがって、当分の間作問に対する配点に差をつける(傾斜配点)を採用することが予想されます)小学生を含めて中学2年生より低学年のみなさんは自分の志望校をしっかりと見据えてこれからの学習への取り組み方を考えながら勉強に取り組んでいってほしいと思います。

 ところで、今年度の当県のセンター試験の平均点が、理系・文系とも全国平均より30~40点低かったことはご存じでしょうか?この数字一つをとっても当県の高校生たちの学力低下がいかに顕著であるかを物語っていると思います。(特に、いわゆるナンバースクールといわれる最上位校の生徒さんの学力は危惧すべき状況ではないでしょうか。今年度の東大・京大・医学部への進学者数は激減すると私は予想しています) これから、高校・大学へと歩みを進める小・中学校の児童生徒をお持ちのご父母の皆様には、ご自分のお子様の将来を見つめながら家庭教育に取り組んでいただきたいと思います。
(参考文献 Educational Network Journal vol.39)